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【経営管理ビザ】東京都の6カ月スタートアップビザで会社設立するには

「外国人が日本でビジネスを始めるために、どんな手続きが必要なの?」

通常、外国人が日本で起業する場合、「経営・管理」の在留資格取得が必要です。この在留資格の取得には、入管への申請前に事業所を確保し、常勤2名以上の職員を雇用または500万円以上出資する等の条件を満たしている必要があります。

また、会社を設立するには、出資金の振込先となる日本の銀行口座が必要です。しかし、日本に住所がない外国人の場合、銀行口座の開設ができません。そのため、日本国内にビジネスパートナーや協力者がいなければ、日本で一人でビジネスを開始するのは極めて困難となっています。

しかし、「ビジネスパートナーがいなくても東京で起業したい」という声は多いです。

そんな外国人におすすめなのが、東京都の「創業人材受入促進事業」を利用して、スタートアップビザの「経営・管理」を取得する方法です。

こちらの記事では、新たに日本に来て東京都内で会社設立する外国人向けに、「外国人創業人材受入促進事業」を使って在留資格「経営・管理」を取得する手順をお伝えします。

東京都外国人創業人材受入促進事業を利用できる人

創業人材受入促進事業は

「優秀な外国人経営者にもっと日本に来てもらいたい!」
「日本経済にイノベーションを起こしてもらいたい!」

と考える東京都によって運営されている制度です。

それでは、この制度を使えるのはどんな外国人かをみてみましょう。

1.対象となる外国人

東京都内で起業を志す外国人で、

  1. 新たに日本に来る人
  2. 在留資格「留学」で日本に在留する外国人(2021年4月1日~)

が対象です。

2.独自の事業計画を持っている人

将来にわたり継続して事業を行えるような独自の事業計画が必要です。

①他人に真似されにくい
②先進性がある
③長期的に続きそうな商品を扱う

などです。

数年前まではIT関係での起業であれば審査に通っていましたが、2020年現在ではITの中でも先進性や独自性があることが重要視されています。

3.外国人本人に経営の素質があること

例えば、日本で香港風カフェを経営したい外国人の場合、香港カフェで仕事していた経験がある、仕入れ先や取引先の目途がついている、自国で経営経験があるなどすれば、本人の経歴や素質があると考えられます。

この制度では、出入国在留管理局の審査前に、東京都が事業計画等の確認を行うことで、特例的に6ヶ月間の「経営・管理」在留資格が認められます。起業予定の外国人は、この6ヶ月の間に、事務所の賃貸契約や会社設立など様々な準備を行うことができるようになります。

では、具体的に創業人材受入促進事業の利用のながれをみてみましょう。

①創業人材受入促進事業で東京都へ申請

まず、下記の書類を準備して東京都へ申請します。

必要書類

  1. パスポートの写し
  2. 創業活動確認申請書(兼同意書)
  3. 創業活動計画書・・・3年分の事業計画書
  4. 履歴書
  5. 来日後6ヶ月間の住居を明らかにする書類・・・ウィークリーマンション、友人宅も可
  6. 通帳の写しなど資本金相当の預貯金残高があることを証明する資料
  7. 委任状・・・行政書士に依頼する場合に必要

※必要書類は日本語での提出となります。英語・中国語など外国語で作成された書類には翻訳文を添付します。

申請窓口

申請は、港区赤坂にある「ビジネスコンシェルジュ東京」の窓口で行います。東京都庁、出入国在留管理局が窓口ではありません。

【ビジネスコンシェルジュ東京・赤坂窓口】

電話番号:03-3582-8353

東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル

独立行政法人日本貿易振興事業(JETRO)本部7階内

営業時間  9:30~17:30(土日祝日、年末年始は休み)

申請書類を持参できる人

  • 申請するご本人
  • 事業所設置の委託を受けた者・・・行政書士に依頼することで、外国人本人が日本にいなくても申請することができます。

審査にかかる期間

申請後1~1.5ヵ月で、東京都から創業活動確認証明書が発行されます。

その後、東京出入国在留管理局へ経営管理在留資格認定証明書の交付申請を行います。入管での審査期間は、およそ1~2ヵ月です。

トータルで見ると、審査にはおおよそ2~3ヶ月かかります。

※審査にかかる期間は2020年1月時点の情報です。申請時の混み具合や追加書類の有無により変わることがあります。

通常の「経営・管理」申請の場合、審査結果がでるまでに4ヶ月~1年かかるため、この制度を使うことで審査期間が短くて済むことがメリットといえます。

東京都職員との面談

申請した本人が面談を受けます。行政書士や通訳の同行は認められています。この面談は、代理人の行政書士が外国人本人に代わって受けることも可能です。また、東京都の判断により書面で質疑応答する場合もあります。なお、面談の際の言語は日本語または英語です。行政書士の同行サービスを使うことで、日本語での受け答えに不安がある方も安心して臨むことができます

面談では、事業計画や収支計画の内容のほか、なぜ起業場所に東京都を選んだかなどが聞かれます。また、本人の素質も確認されます。

面談

審査結果の受け取り

東京都の審査が通ると「創業活動確認書」が交付され、指定された日本の住所へ郵送されます。

※審査の結果不交付となる場合もあります。不交付であっても理由は開示されません。

②在留資格「経営・管理(6ヶ月)」を申請

東京都の審査が通り「創業活動確認書」が交付されたら、東京出入国在留管理局へ申請します。

必要書類

  1. 顔写真(横3cm×縦4cm、無背景、6ヶ月以内に撮影したもの)
  2. パスポートの写し(写真・氏名・パスポート番号の記載があるページ)
  3. 東京都へ提出した申請書類の写し一式
    ・創業活動確認申請書
    ・創業活動計画書
    ・履歴書
    ・上陸後6ヶ月の住所を明らかにする書類
    ・通帳の写しなど現金預貯金の残高が分かる書類
  4. 東京都が発行した「創業活動確認証明書」
  5. 委任状・・・行政書士に依頼した場合に必要
  6. 在留資格認定証明書交付申請書(新規入国者)
    または在留資格変更許可申請書(留学からの変更者)
  7. 返信用封筒(434円切手貼付)・・・新規入国者のみ。日本の連絡先を記入した封筒

申請窓口

  • 新規入国者の認定申請・・・赤坂の「東京開業ワンストップセンター」の入国管理ブース、または東京出入国在留管理局
  • 「留学」からの変更申請・・・東京出入国在留管理局
    「東京開業ワンストップセンター」では変更申請は受付されません。

新規入国者の認定申請については、赤坂の窓口を利用することをおすすめします。特殊な申請のため、東京出入国在留管理局の窓口担当者がこの申請のことを知らないことがあり、説明を求められることがあります。そのため、東京出入国在留管理局に直接申請する際は、東京都の制度を説明した資料を持参することをお勧めします。なお、郵送では受付されません。

【東京開業ワンストップセンター 入国管理ブース】

予約連絡先 03-3582-4934
東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル
独立行政法人日本貿易振興事業(JETRO)本部7階 内

営業時間  9:30~17:30(土日祝日、年末年始は休み)

審査結果の受け取り

審査結果は、指定した日本の住所へ郵送で届きます。
※審査の結果、不交付となる場合もあります。

その後、新規入国者は本国の在外公館で「在留資格認定証明書」を提示し、査証を取得して来日します。そして、成田空港や羽田空港で在留カードを受け取ります。

③「経営・管理(6ヶ月)」で来日した後のながれ

日本に入国してから起業のための準備を行います。

※留学からの変更申請者は変更許可後、会社設立準備を行います。

1.来日してまずやること

  1. 来日後、住居が決まったら14日以内に住民登録して住民票を取得
  2. 印鑑登録して印鑑証明書取得
  3. 個人名の銀行口座開設
  4. 海外から日本の個人名の銀行口座へ資本金相当額を送金

2.<第1回>東京都へ経過報告

日本入国後1~2ヵ月目に、東京都へ経過報告します。

このとき、在留カードや住民登録している場合は住民票を提示し、銀行口座開設状況や会社設立スケジュール等を報告します。なお東京都の判断により、面談の代わりにメールで報告することもあります。

3.事業所探し

事業所として利用する物件を探し、賃貸借契約を行います。日本で住民登録している外国人が借りられる事務所物件は都内に多数存在します。店舗の場合は、物件探しに時間がかかることもありますので、来日後すぐに探し始めることをおすすめします。

4.会社設立

事業所が決まったら下記の手順で会社設立を行います。

  1. 定款を作成
  2. 公証役場で定款認証(株式会社の場合)
  3. 法人印を注文
  4. 資本金を銀行口座へ払込
  5. 法務局で会社設立登記

なお、「経営・管理」の在留資格を更新するために、常勤2名以上の雇用または資本金500万円以上での設立が必要です。

5.税務署その他の届出・法人口座開設

会社設立後、税務署へ開業届等を提出します。許認可が必要な業種の場合は、許認可申請も行い、法人口座を開設します。なお、法人口座の開設は、銀行の審査が通らないことがあり難航しやすいです。法人口座が開設できなくても、在留期間の更新は可能です。(2023年9月現在)

これらの手続きが完了したら、ついに事業開始です。

6.<第2回>東京都へ経過報告

日本入国後3~5ヶ月目に東京都へ2回目の経過報告を行います。2回目は、実際に事業を行う事務所や店舗へ東京都職員が来て対面で行われます。その際、事業所の要件が問題ないか、事業が開始されているか、在留期間更新申請書類が揃っている状況かが確認されます。何か不足がある場合は、在留期間が無事更新できるよう支援やアドバイスを受けます。

7.「経営・管理」の在留期間更新許可申請

日本入国後6ヶ月以内に在留期間更新申請をします。在留期間更新は在留期限の3ヵ月前から申請できます。なお、更新申請は赤坂の東京開業ワンストップセンターでは受付けていません。東京出入国在留管理局へ持参またはオンライン申請をします。

もし6ヶ月以内に事業所が見つからず、事業を開始できない場合、在留期間更新が認められないことがあります。

また、注意点として「東京都創業人材受入促進事業」を使った方は「経営・管理」以外の在留資格への変更は認められていません。

そのため、この制度を利用する場合は、6ヶ月後の在留期間更新申請までをワンセットで考えておくことが必要です。

創業人材受入促進事業を使って経営管理ビザを取る方法

おわりに

今回は「東京都創業人材受入促進事業」を利用して、日本で起業する方法をご紹介しました。

ビジネスパートナーなしで起業を考えている外国人にとって、スムーズに起業できる大変メリットのある制度です。

また、事業所を借りてからすぐに事業を開始できるため、通常の「経営・管理」を利用するよりもトータル賃貸料が安くおさえられます。

参考サイト(東京都HP):創業人材受入促進事業

当事務所は、あなたが日本でビジネスを始められるよう「外国人創業人材受入促進事業」の申請、「経営・管理」在留資格取得、会社設立、東京都の経過報告代行、事業所での面談同席、更新申請までトータルサポートいたします。

もっと詳しく「経営・管理」申請について知りたい方は弊所の個別相談をご利用ください。

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ABOUT ME
閑田 里枝子
行政書士/出入国在留管理局申請取次者 大学卒業後、大手損害保険会社勤務、中国6年在住を経て2015年行政書士登録。東京都千代田区神田で外国人向けの在留資格申請を取扱う。外国人の起業や雇用、永住など在留資格相談実績多数。