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【経営管理ビザ】東京都のスタートアップビザで会社設立するには

「外国人が日本でビジネスを始めるために、どんな手続きが必要なの?」

通常、外国人が日本で起業する場合、「経営・管理」の在留資格取得が必要です。この在留資格の取得には、入管への申請前に事業所を確保し、常勤2名以上の職員を雇用または500万円以上出資する等の条件を満たしている必要があります。

また、会社を設立するには、出資金の振込先となる日本の銀行口座が必要です。しかし、日本に住所がない外国人の場合、銀行口座の開設ができません。そのため、日本国内にビジネスパートナーや協力者がいなければ、日本で一人でビジネスを開始するのは極めて困難となっています。

しかし、「ビジネスパートナーがいなくても東京で起業したい」という声は多いです。

そんな外国人におすすめなのが、東京都の「外国人起業活動促進事業」を利用して、スタートアップビザの「特定活動(告示44号)」を取得する方法です。

この制度では、出入国在留管理局の審査前に、東京都が事業計画等の確認を行うことで、「特定活動(告示44号)」在留資格が認められます。起業予定の外国人は、最長2年間、事務所の賃貸契約や会社設立など様々な準備を行うことができるようになります。

こちらの記事では、新たに東京都内で会社設立する外国人向けに、「外国人起業活動促進事業」を使って起業する手順をお伝えします。

東京都外国人起業活動促進事業を利用できる人

この制度を使えるのはどんな外国人かをみてみましょう。下記の3つの要件が揃っている人が対象です。

1.対象となる外国人

東京都内で新たに事業を始める外国人が対象です。

この制度を利用できない外国人

  1. 会社設立済の人
  2. 出資者が外国法人の場合

すでに会社設立が完了している場合は、スタートアップと見なされないため対象外となります。

2.対象の事業

対象となるのは、下記の事業です。

  1. 金融関連業
  2. 情報関連業
  3. 環境・エネルギー関連業
  4. 健康・医療・福祉関連業
  5. 文化・芸術関連業
  6. 食品・農林水産関連業
  7. 卸売業・小売業
  8. その他東京都知事の認める産業

これらの事業で、かつ将来にわたり継続して事業を行えるような独自の事業計画(①他人に真似されにくい、②先進性がある、③長期的に続きそうな商品を扱う)が必要です。

3.外国人本人の要件

以下の事項のうち、いずれかを満たしていることが必要です。

  1. 大卒等(日本の専門士・高度専門士含む)
  2. 関連する業務に3年以上従事していること
  3. 関連事業経営または管理に1年以上従事していること
  4. 6カ月以内に起業する見込みがあること

では、具体的に外国人起業活動促進事業の利用のながれをみてみましょう。

①外国人起業活動促進事業で東京都へ申請

まず、下記の書類を準備して東京都へ申請します。

必要書類

  1. パスポートの写し
  2. 起業準備活動計画確認申請書(兼同意書)
  3. 起業準備活動計画書・・・3年分の事業計画書
  4. 履歴書
  5. 来日後または在留資格変更後1年間の住居を明らかにする書類・・・賃貸借契約申込書の写しなど。ウィークリーマンション、友人宅も可
  6. 来日後または在留資格変更後1年間の滞在費があることを証明する書類・・・資本金と当面の生活費相当の預貯金残高があることが分かる通帳の写し、残高証明書など
  7. 日本語能力認定書(あれば)
  8. 委任状・・・行政書士に依頼する場合に必要

※必要書類は日本語での提出となります。英語・中国語など外国語で作成された書類には翻訳文を添付します。

申請窓口

申請は、港区赤坂にある「ビジネスコンシェルジュ東京」へ提出します。東京都庁、出入国在留管理局が窓口ではありません。

【ビジネスコンシェルジュ東京・赤坂窓口】

電話番号:03-3582-8353

東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル

独立行政法人日本貿易振興事業(JETRO)本部7階内

営業時間  9:30~17:30(土日祝日、年末年始は休み)

提出方法

メールアドレスにデータ送信

提出できる人

  • 申請するご本人
  • 事業所設置の委託を受けた者・・・行政書士に依頼することで、外国人本人が日本にいなくても申請することができます。
  • 外国人の円滑な受入れを図ることを目的とする公益社団法人または公益財団法人の職員で、地方出入国在留管理局長が適当と認める者(現在、公益財団法人入管協会が該当)

審査にかかる期間

申請後1~3ヵ月で、東京都から起業準備活動計画確認証明書が発行されます。

その後、東京出入国在留管理局へ在留資格認定証明書交付申請または在留資格変更許可申請を行います。入管での審査期間は、およそ1~2ヵ月です。

トータルで見ると、審査にはおおよそ2~5ヶ月かかります。

※審査にかかる期間は2024年11月時点の情報です。申請時の混み具合や追加書類の有無により変わることがあります。

通常の「経営・管理」申請の場合、審査結果がでるまでに6ヶ月~1年かかるため、この制度を使うことで審査期間が短くて済むことがメリットといえます。

東京都職員との面談

申請した本人が面談を受けます。行政書士や通訳の同行は認められています。この面談は、代理人の行政書士が外国人本人に代わって受けることも可能です。また、東京都の判断により書面で質疑応答する場合もあります。なお、面談の際の言語は日本語または英語です。行政書士の同行サービスを使うことで、日本語での受け答えに不安がある方も安心して臨むことができます

面談では、事業計画や収支計画の内容のほか、なぜ起業場所に東京都を選んだかなどが聞かれます。また、本人の素質も確認されます。

面談

審査結果の受け取り

東京都の審査が通ると「起業準備活動計画確認証明書」が交付され、指定された日本の住所へ郵送されます。

※審査の結果不交付となる場合もあります。不交付であっても理由は開示されません。

②在留資格「特定活動(告示44号)」を申請

東京都の審査が通り「起業準備活動計画確認証明書」が交付されたら、東京出入国在留管理局へ在留資格「特定活動(告示44号)」(在留期間1年または6カ月)を申請します。

必要書類

  1. 顔写真(横3cm×縦4cm、無帽、無背景、6ヶ月以内に撮影したもの)
  2. パスポートの写し(写真・氏名・パスポート番号の記載があるページ)
  3. 東京都へ提出した申請書類の写し一式
    ・起業準備活動計画確認申請書
    ・起業準備活動計画書
    ・履歴書
    ・上陸後または在留資格変更後1年の住所を明らかにする書類
    ・通帳の写しなど現金預貯金の残高が分かる書類
  4. 東京都が発行した「起業準備活動計画確認証明書」
  5. 委任状・・・行政書士に依頼した場合に必要
  6. 在留資格認定証明書交付申請書(新規入国者)
    または在留資格変更許可申請書(ほかの在留資格からの変更者)
  7. 返信用封筒(簡易書留用切手貼付)・・・新規入国者のみ。日本の連絡先を記入した封筒

申請窓口

  • 新規入国者の認定申請・・・赤坂の「東京開業ワンストップセンター」の入国管理ブース、または東京出入国在留管理局
  • ほかの在留資格からの変更申請・・・東京出入国在留管理局
    「東京開業ワンストップセンター」では変更申請は受付されません。

新規入国者の認定申請については、赤坂の窓口を利用することをおすすめします。特殊な申請のため、東京出入国在留管理局の窓口担当者がこの申請のことを知らないことがあり、説明を求められることがあります。そのため、東京出入国在留管理局に直接申請する際は、東京都の制度を説明した資料を持参することをお勧めします。なお、郵送では受付されません。

【東京開業ワンストップセンター 入国管理ブース】

予約連絡先 03-3582-4934
東京都港区赤坂1-12-32 アーク森ビル
独立行政法人日本貿易振興事業(JETRO)本部7階 内

営業時間  9:30~17:30(土日祝日、年末年始は休み)

審査結果の受け取り

審査結果は、指定した日本の住所へ郵送で届きます。
※審査の結果、不交付となる場合もあります。

その後、新規入国者は本国の在外公館で「在留資格認定証明書」を提示し、査証を取得して来日します。そして、成田空港や羽田空港で在留カードを受け取ります。

③「特定活動(告示44号)」で来日した後のながれ

日本に入国してから起業のための準備を行います。

※変更申請者は変更許可後、会社設立準備を行います。

1.来日してまずやること

  1. 来日後、住居が決まった日から14日以内に住民登録して住民票を取得
  2. 印鑑登録して印鑑証明書取得
  3. 個人名の銀行口座開設
  4. 海外から日本の個人名の銀行口座へ資本金相当額を送金

2.東京都へ経過報告

少なくとも月に1回、起業準備がどこまで進んだか、進捗状況を東京都へ報告します。

このとき、在留カードや住民票を提示し、銀行口座開設状況や会社設立スケジュール等を報告します。なお東京都の判断により、面談の代わりにメールで報告することもあります。

3.事業所探し

事業所として利用する物件を探し、賃貸借契約を行います。日本で住民登録している外国人が借りられる事務所物件は都内に多数存在します。店舗の場合は、物件探しに時間がかかることもありますので、来日後すぐに探し始めることをおすすめします。

4.会社設立

事業所が決まったら下記の手順で会社設立を行います。

  1. 定款を作成
  2. 公証役場で定款認証(株式会社の場合)
  3. 法人印を注文
  4. 資本金を銀行口座へ払込
  5. 法務局で会社設立登記

なお、「経営・管理」の在留資格を更新するために、常勤2名以上の雇用または資本金500万円以上での設立が必要です。

5.税務署その他の届出・法人口座開設

会社設立後、税務署へ開業届等を提出します。許認可が必要な業種の場合は、許認可申請も行い、法人口座を開設します。なお、法人口座の開設は、銀行の審査が通らないことがあり難航しやすいです。法人口座が開設できなくても、在留期間の更新は可能です。(2023年9月現在)

これらの手続きが完了したら、ついに事業開始です。

6.東京都へ経過報告

事業所を確保して、事業を開始できる準備が整ったら(目安:3~5ヶ月目)には、東京都職員が実際に事業を行う事務所や店舗へ来て対面で行われます。その際、事業所の要件が問題ないか、事業が開始されているかの条件が整っているかが確認されます。何か不足がある場合は、在留資格「経営・管理」が無事許可できるよう支援やアドバイスを受けます。

7.「経営・管理」への在留資格変更許可申請

在留資格「特定活動」の在留期間1年または6か月(最長2年)を超えて、引き続き日本で事業の経営を行う場合は、東京出入国在留管理局で在留資格「経営・管理」への変更手続きを行います。

変更必要書類

  1. パスポート
  2. 在留カード
  3. 顔写真(横3cm×縦4cm、無帽、無背景、6ヶ月以内に撮影したもの)1枚
  4. 在留資格変更許可申請書
  5. 東京都発行の「起業準備活動計画確認証明書」写し
  6. 登記事項証明書(発行から3ヶ月以内)
  7. 役員報酬を定めた株主総会議事録写し(合同会社の場合はそれに準ずる書面)
  8. 事業所の賃貸借契約書写し(不動産を所有している場合は不動産登記簿謄本)
  9. 事業所の写真、図面・・・あった方が◎
  10. 資本金の振込明細
  11. 給与支払事務所等の開設届出書写し
  12. 納期の特例を受けている場合は、その承認を受けていることを明らかにする資料写し
  13. 常勤職員2名以上で事業規模を証明する場合は、職員の雇用契約書または労働条件通知書の写しおよび職員の住民票等本人確認書類

上記は基本資料となります。事業内容や事業所の契約形態によっては追加で必要な書類があります。

8.東京都へ最終報告

在留資格変更許可申請を行ったら、出入国在留管理局の申請受付票または申請受理メールの控えを東京都へ提出します。そして、無事申請が許可されたら、 許可後の在留カード写しを東京都へ提出して完了です。

 

創業人材受入促進事業を使って経営管理ビザを取る方法

おわりに

今回は「東京都外国人起業活動促進事業」を利用して、日本で起業する方法をご紹介しました。

ビジネスパートナーなしで起業を考えている外国人にとって、スムーズに起業できる大変メリットのある制度です。

また、事業所を借りてからすぐに事業を開始できるため、通常の「経営・管理」を利用するよりもトータル賃貸料が安くおさえられます。

参考サイト(東京都HP):東京都外国人起業活動促進事業

当事務所は、あなたが日本でビジネスを始められるよう東京都「外国人起業活動促進事業」の申請、「特定活動(告示44号)」在留資格取得、会社設立、東京都の経過報告代行、事業所での面談同席、「経営・管理」への在留資格変更許可申請までトータルサポートいたします。

東京都スタートアップビザ申請サポート料金

種 類 着手金 成功報酬 印紙代 合計(税込)
スタートアップビザ申請
(東京都起業人材+特定活動ビザ取得+経営管理への変更セット)
110,000円 330,000円 5,500~6,000円/件 440,000円+印紙代

サービス内容

  1. 在留資格に関するご相談
  2. 必要書類のリストアップ(来日前・来日後に分けてご案内)
  3. 申請書類の作成
  4. 活動計画書、収支計画書、添付資料のチェック及びアドバイス
  5. 英語・中国語文書の日本語への翻訳(1申請につき原文4枚まで)
  6. 東京都スタートアップビザ申請
  7. 東京都への経過報告代行
  8. 東京都による事業所視察の立会い
  9. 在留資格「特定活動(告示44号)」認定申請または変更申請
  10. 在留資格「経営・管理」変更申請
  11. 東京都と出入国在留管理局からの質問や追加資料への対応
  12. 結果通知の受取り

会社設立料金

資本金500万円の場合

種 類 料 金 印紙代・登録免許税 合計(税込)
合同会社設立一式 99,000円 60,000円 159,000円
株式会社設立一式 110,000円 202,000円 312,000円

会社設立費用には、司法書士の登記報酬が含まれます。

 

もっと詳しく「経営・管理」申請について知りたい方は弊所の個別相談をご利用ください。

ビザ専門の行政書士が対応いたします。

ビザ取得見込のご相談:初回無料(来所またはテレビ電話)

その他のご相談:30分 3,300円(税込)

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閑田 里枝子
行政書士/出入国在留管理局申請取次者 大学卒業後、大手損害保険会社勤務、中国6年在住を経て2015年行政書士登録。東京都千代田区神田で外国人向けの在留資格申請を取扱う。外国人の起業や雇用、永住など在留資格相談実績多数。